冷え性の高齢者は要注意!「低体温」を防ごう

朝晩の冷え込みが厳しくなるこの季節。手や足の指先の「冷え」に悩む人にとっては憂鬱な季節ではないでしょうか。
なかでもご高齢の家族の場合、気をつけたいのが「低体温」です。本人に自覚がないまま進行することもあるため、寒くなると不調を訴えたり、判断力が低下しているな、と感じたら疑ってみてはいかがでしょうか。
目次
- 低体温とは
- 低体温の原因のひとつ「低栄養」
- 体温の低下が免疫力の低下に
- 体温を上げるための方法
低体温とは
冷えのなかでも特に注意したいのが「低体温」です。
一定に保たれるはずの体の中心温度が36度以下になることを差し、35度以下にまで下がると「低体温症」と診断されます。震えが止まらなくなり、判断力が低下するなどの症状が現れ、重症化すれば意識を失ったり死に至ることもあります。
一般的には冬山の登山や真冬のマラソン大会などで起こりやすい症状ですが、実は高齢者はこの低体温リスクが高いことが分かっています。特に60歳代以上の低体温患者のうち、約4分の3が「屋内」で発症しており、単に暖かい家の中にいれば大丈夫、という理解は危険であると言えます。
ではどうして高齢者の低体温リスクが高まるのでしょうか。専門家によると生活習慣が影響すると指摘されています。
なぜ、高齢者は通常よりも体温が低いのでしょうか。
その理由は基礎代謝と調整機能の低下が関係しています。●基礎代謝の低下
基礎代謝とは、人が生きていくために最低限、体が必要とするエネルギー量のことをいいます。
熱は筋肉や肝臓での代謝によって産出されますが、筋肉量は20歳をピークに徐々に減り、運動量も低下します。
よって、年を重ねると基礎代謝は落ちる傾向にあります。
基礎代謝が落ちることで熱の産出量も少なくなるため、結果として高齢者は子どもや若い方にくらべ、体温が低い方が多くなります。●体温調整機能の低下
視床下部が司令塔となり行われている体温調整ですが、この体温調整機能も歳を重ねると機能そのものが低下します。
本来は体温が下がったとき、代謝を上げたり、皮膚の血流量を下げなくてはいけません。
しかしその伝達機能が加齢によって低下してしまっているので、体温の調整ができず、体温が低い傾向となります。
引用:OG介護プラス「高齢者の体温はなぜ低い?その疑問に、メカニズムからお答えします!」より https://ogw-media.com/kaigo/cat_care/1799
低体温の原因のひとつ「低栄養」
体温の熱は、実は筋肉で生み出しています。このとき筋肉の燃料となるのが食事の栄養です。栄養摂取が不足してしまうために、活動がおっくうになり充分な発熱ができないために、体温が上がらないことに繋がってしまいます。
高齢になるほど食が細くなる一方、退職を期に活動量や範囲が狭くなります。あまり活動せずこたつやソファにじっとしがちなので、お腹も空かず余計に食べないという悪循環に陥りがちです。
それら生活習慣の積み重ねによって、低栄養や筋力不足による体温調節機能の低下、糖尿病などの基礎疾患が影響していると考えられます。
「ウチは大丈夫」と思っていても警戒を怠ってはいけません。”食べているつもりでもご用心!高齢者に広がる新型栄養失調”でもご紹介しましたが、70歳以上になると5人に1人が低栄養状態であると報告されており、こうした運動機能の低下とともに、低体温という生命維持機能の低下にも注意が必要です。
体温の低下が免疫力の低下に
「低体温」が引き起こすリスクは、体の機能低下に留まりません。
私たちの生理機能は36.5~37度で最適に活動していますが、ウイルスなどど外敵が侵入すると、発熱して対抗します。これは、体温上昇とともに一時的に免疫力が5~6倍となるためで、風邪を引くと発熱するのは体の自己治癒機能であると言えます。
ただ逆に体温が低下してしまうと免疫機能は低下し、体温が1℃下がると白血球の働きが30%ダウンすると言われています。この影響で様々な体の不調が出やすくなることがわかってきました。例えば感染症や脳血管障害、糖尿病、虚血性心疾患などです。
体温を上げるための方法
ポイントは「衣服」「食事」「運動」です。
・衣服 : 空気を着込もう!
・下着は汗を吸いやすく乾きやすいものを。
・ヒートテックなどの発熱する下着なども上手に使おう
・セーター(空気を貯め込む中着)+ヤッケ(空気を通さない上着)で暖かい空気を逃がさない
・マフラーで首もとをガード!バスや電車などでは外して余計な汗をかかないように調節しよう
・食事 : たんぱく質を食べよう!
・食べ物の7割は熱になる!食事には温かいものをしっかり食べる
・卵や納豆、かまぼこなど、体温を速やかに上昇させるたんぱく質は、特に朝食にしっかりと!
・たんぱく質は筋肉のもと!朝昼晩には必ず魚と肉の主菜を
※たんぱく質が多く含まれている食品をご紹介します。ぜひ参考にしてバランス良い食事を心掛けましょう。

引用:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm
また、簡単にたんぱく質を摂れるものとして、「ふりかけ」もおすすめです。どのふりかけがどのくらいたんぱく質が摂れるかについては、こちらのコラムをご覧ください。
→白米好きでたんぱく不足な方必見!ふりかけでたんぱく質も摂ろう!
・運動 : 筋肉を付けよう!
・体の熱量の6割は筋肉から発生
・スクワットや腹筋など足腰を中心に大きな筋肉を鍛えよう
・筋肉はいくつになっても増やせます!少しの量を継続しましょう
冷えは体の内側から防ぐものです。ところが、高齢になるほど食事や運動などを生活に取り入れることは難しくなります。
特に夫婦世帯や独居世帯など、外からの刺激が少なく、個人の意思だけでは習慣化するのが難しいからです。ぜひとも会話を増やしたり、電話やメールも使ってコミュニケーションをとるなどしながら、励まし、支えながら見守ってあげるようにしましょう。
また、低体温は自覚症状が少ない上に、一般的な体温計などで外から測ることができません。寒さにつれて「おかしいな…」と感じたら、病院で調べてもらうとともに、まずは日頃から体を冷やさない生活習慣も見直しましょう。
監修:白柳 貴子(しらやなぎ・たかこ)管理栄養士
株式会社小田原鈴廣社員。社員の健康管理のためのメニュー提案・監修を行なう。
豊富な栄養知識をもとにウェブ記事や冊子の編集も担当。
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